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小说站 > 历史军事 > 嫌疑犯X的献身-容疑者Xの献身(日文版)

正文 第22节 文 / [日]东野圭吾

    「弁当は買わないのか」案の定、湯川が訊いてきた。台湾小说网  www.192.tw

    「しっこい男だな。毎日買うわけじゃないといってるだろ」石神は眉根を寄せた。

    「まあ、君が昼飯に困らないのならそれでいい」湯川は隣に並んできた。「死体のそばからは、自転車も発見されている。捜査によって、篠崎駅に止めてあったものが盗まれたのだと判明した。自転車には被害者のものと思われる指紋がついていた」

    「それがどうかしたのか」

    「死体の顔まで潰しておいて、自転車の指紋を消し忘れるとは、鈍どんな犯人もいたものだ。だが、わざと残しておいたのだとしたら話は変わってくる。その目的は何なのか」

    「何だというんだ」

    「自転車と被害者を結びつけるためかな。自転車が事件と無関係だと思われると、犯人としては都合が悪かった」

    「どうして」

    「被害者が自転車を使って篠崎駅から現場に行った、ということを、警察の手で掴んでほしかったからさ。しかもふつうの自転車ではだめだった」

    「見つかったのは、ふつうの自転車じゃなかったのか」

    「どこにでもあるママチチャリだ。だけど一つだけ特徴があった。新品同様だったということだ」

    石神は全身の毛穴が開くのを感じた。息が荒くなるのを抑えるのに苦労していた。

    おはようございます、と声をかけられ、はっとした。自転車に乗った女子高生が彼を追い越していくところだった。彼女は石神に向かって、軽く一礼した。

    「あ、おはよう」あわてて応えた。

    「感心だな。今じゃ、教師に挨拶する生徒なんていないと思っていた」湯川がいう。

    「殆どいないよ。ところで、自転車が新品同様だったというのが、何か意味があるのか」

    「警察じゃ、どうせ盗むのなら新しいほうがいいからだろうと考えたようだが、そんな単純な理由じゃない。犯人がこだわったのは、自転車がいつから篠崎駅に置かれていたか、だった」

    「というと」

    「犯人としては、駅に何日も放置されているような自転車には用がなかったんだよ。しかも持ち主には名乗り出てもらいたかった。そのためには新品同様である必要があった。買ったばかりの自転車を延々と放置しておく人は少ないし、もし盗まれたとしたら、警察に届ける可能性が高いからな。もっとも、これらのことは犯行をカムフラージュする絶対条件というわけではない。犯人にしてみれば、うまくいけばありがたいという気持ちで、成功の確率が高くなる方法を選んだというわけだ」

    「ふうん」

    石神は湯川の推理についてコメントせず、前だけを向いて歩いた。やがて学校が近づいてきた。歩道に生徒の姿が見られるようになった。

    「面白そうな話なんで、もっと聞いていたいんだが」彼は立ち止まり、湯川のほうを向いた。「ここから先は遠慮してくれないか。生徒たちに聞かれたくないのでね」

    「そのほうがいいだろうな。僕も、大まかなことは伝えられたと思うし」

    「興味深かった」石神はいった。「以前おまえにこういう問題を出されたことがある。人に解けない問題を作るのと、その問題を解くのとでは、どちらが難しいか――覚えているか」

    「覚えている。僕の答えは、問題を作るほうが難しい、だ。解答者は、常に出題者に対して敬意を払わねばならないと思っている」

    「なるほど。じゃあ、pnp問題は 自分で考えて答えを出すのと、他人から聞いた答えを正しいかどうかを確かめるのとでは、どちらが簡単か」

    湯川は怪訝そうな顔をしている。栗子网  www.lizi.tw石神の意図がわからないのだろう。

    「おまえはまず自分で答えを出した。次は他人が出した答えを聞く番だな」そういって石神は湯川の胸を指差した。

    「石神」

    「じゃあ、ここで」石神は湯川に背中を向け、歩きだした。鞄を抱える腕に力を込める。

    もはやここまでか、と彼は思った。あの物理学者は、すべてを見抜いている――。

    デザートの杏仁豆腐を食べている間も、美里は押し黙ったままだった。やはり連れてこないほうがよかったのだろうか、と靖子は不安になる。

    「おなかいっぱいになったかい、美里ちゃん」工藤が話しかける。彼は今夜、終始気を遣いっぱなしだ。

    美里は彼のほうを見ようとはせず、スプーンを口元に運びながら頷いた。

    靖子たちは銀座の中華料理店に来ていた。工藤が、ぜひ美里ちゃんも一緒に、といったから、渋る美里を無理矢理引っ張ってきたのだ。中学生にもなれば、「おいしいものを食べられる」というような台詞には何の効果もない。結局靖子は、「あまり不自然なことをすると警察から疑われるから」といって、美里を説得したのだった。

    だがこれでは工藤を不愉快にさせただけかもしれない、と靖子は後悔していた。食事をしている間も、工藤はあれこれと美里に話しかけたが、とうとう最後まで美里がまともに答えることはなかった。

    杏仁豆腐を食べ終えた美里が、靖子のほうを向いた。「トイレに行ってくる」

    「あ、はい」

    美里がいなくなるのを待って、靖子は工藤に向かって手を合わせた。

    「ごめんなさいね、工藤さん」

    「えっ、何が」彼は意外そうな顔をする。無論、演技だろう。

    「あの子、人見知りするのよ。それに、大人の男の人は特に苦手みたい」

    工藤は笑った。

    「すぐに仲良くなれるとは思っちゃいないよ。僕だって中学生の時はあんな感じだった。今日はとにかく会えればいいと思っていたからね」

    「ありがとう」

    工藤は頷き、椅子にかけた上着のポケットから煙草とライターを出してきた。食事中は喫煙を我慢していたのだ。たぶん美里がいるからだろう。

    「ところで、その後何か変わったことは」一服してから工藤が訊いてきた。

    「何かって」

    「事件のこととか、だけど」

    ああ、と靖子は一旦目を伏せてから、改めて彼を見た。

    「特に何もない。平凡な毎日よ」

    「それならよかった。刑事は来ない」

    「ここしばらくは会ってないわね。お店にも来ないし。工藤さんのところへは」

    「うん、僕のところにも来ない。どうやら疑いが晴れたらしい」工藤は煙草の灰を灰皿に落とした。「ただ、ちょっと気になることがある」

    「何」

    「うん」工藤は少し迷いの表情を浮かべてから口を開いた。「じつはこのところ、無言電話がよくかかってくる。自宅の電話にだけど」

    「何それ 気持ち悪いわね」靖子は眉をひそめた。

    「それから」彼は躊躇いがちに、上着のポケットから一枚のメモのようなものを取り出した。「こんなものがポストに入っていた」

    靖子はそのメモの文面を見て、ぎくりとした。彼女の名前が書いてあったからだ。内容は次のようなものだった。

    花岡靖子に近づくな 彼女を幸せにできるのは おまえのような男ではない

    ワープロかパソコンで書かれたものらしい。栗子网  www.lizi.twもちろん差出人の名前などはない。

    「郵便で送られてきたの」

    「いや、誰かが直接ポストに入れたようだ」

    「心当たり、あるの」

    「僕には全然。だから君に訊こうと思っていたんだ」

    「あたしにも心当たりなんてないけど」靖子はバッグを引き寄せ、中からハンカチを取り出していた。掌に汗が滲み始めていた。

    「入れられていたのは、この手紙だけ」

    「いや、写真が一枚入っていた」

    「写真」

    「以前、君と品川で会った時のものだ。ホテルの駐車場にいるところを撮られたらしい。全く気づかなかった」工藤は首を捻った。

    靖子は思わず周りを見回していた。だがまさか、この店内で見張られているはずはない。

    美里が戻ってきたので、この話はここまでとなった。靖子たちは、店を出たところで工藤と別れ、タクシーに乗った。

    「料理、おいしかったでしょ」靖子は娘にいった。

    だが美里はふてくされた表情のままで何もいわない。

    「ずっとそんな顔をしてたら失礼でしょ」

    「だったら、連れてかなきゃいいじゃん。あたし、いやだっていったのに」

    「だって、せっかく誘ってもらってるのに」

    「おかあさんだけ行けばいいでしょ。もう、あたし、行かないから」

    靖子は吐息をついた。工藤は、時間をかければ美里が心を開く日も来ると信じているようだがとても望めないと思った。

    「おかあさん、あの人と結婚するの」突然美里が訊いてきた。

    靖子はもたれていたシートから身を起こした。「何いってるの」

    「マジで訊いてんだけど。結婚したいんじゃないの」

    「しないわよ」

    「本当」

    「当たり前じゃない。たまに会ってるだけでしょ」

    「だったらいいけど」美里は窓のほうに顔を向ける。

    「何がいいたいの」

    「別に」そういってから美里は、ゆっくりと靖子のほうを向いた。「あのおじさんのことを裏切ったらまずいよな、と思っただけ」

    「あのおじさん、というのは」

    美里は母親の目を見つめ、黙って顎を引いた。隣のおじさんだよ、といいたいらしい。口に出さないのは、タクシーの運転手の耳を気にしてのことだろう。

    「あなたはそんなこと気にしなくていいの」靖子は再びシートにもたれた。

    美里は、ふうん、とだけいった。母親のことを信じている様子ではない。

    靖子は石神のことを考えた。美里にいわれるまでもなく、彼のことは気になっている。工藤から聞いた妙な話が引っかかっているからだ。

    靖子としては、思い当たる人物は一人しかいない。靖子が工藤に送られてアパートに帰った時、その様子を見つめていた石神の暗い目は、今も脳裏に焼き付いている。

    靖子が工藤と会っていることについて、石神が嫉妬の炎を燃やしていることは、十分に考えられた。彼が犯行の隠蔽に協力し、今も花岡母娘を警察から守ってくれるのは、靖子への思いがただならぬものだからに違いない。

    工藤への嫌がらせをしているのは、やはり石神だろうか。だとすれば、彼は自分のことをどうするつもりなのだろう、と靖子は不安になった。共犯者だということを盾に、今後は彼女の生活を支配するつもりなのだろうか。彼女がほかの男性と結婚することはおろか、付き合うことさえも許さないということか。

    石神のおかげで、富樫を殺した件について、靖子は警察の追及を逃れつつある。そのことについては感謝している。しかしそのせいで、彼の支配から一生逃れられないのだとしたら、何のための隠蔽工作だったのか。これでは富樫が生きていた頃と変わらない。相手が富樫から石神に変わっただけだ。しかも今度は、絶対に逃げられず、裏切ることもできない相手だ。

    タクシーがアパートの前についた。車を降りてアパートの階段を上がっていく。石神の部屋の明かりはついていた。

    部屋に入ると靖子は着替えを始めた。その直後、隣の部屋のドアを開閉する音が聞こえた。

    美里が、「ほら」といった。「おじさん、今夜も待ってたんだよ」

    「わかってるわよ」靖子の口調は、ついぶっきらぼうになってしまう。

    数分後、携帯電話が鳴った。

    はい、と靖子は応じた。

    「石神です」予想通りの声が聞こえた。「今、大丈夫ですか」

    「はい、大丈夫です」

    「今日も特に変わったことはありませんでしたか」

    「ええ、何も」

    「そうですか。それはよかった」石神が太い息を吐くのがわかった。「じつは、あなたにお話しておかねばならないことがあります。一つは、お宅のドアの郵便受けに、手紙の入った封筒を三通入れたことです。後で確認しておいてください」

    「手紙ですか」靖子はドアを見た。

    「その手紙は、今後必要になりますから、大切に保管しておくこと。いいですね」

    「あ、はい」

    「手紙の用途については、メモに書いて一緒に入れておきました。いうまでもないことですが、そのメモは処分してください。わかりましたか」

    「わかりました。今、確認しましょうか」

    「後で結構です。それともう一つ、重大なお話が」そういってから石神は少し間を置いた。何かを躊躇っているように靖子には感じられた。

    「何でしょうか」彼女は訊いた。

    「こうした連絡ですが」彼は話し始めた。「この電話で最後とします。私から連絡することはありません。もちろん、あなたから私に連絡してもいけません。これから私にどのようなことが起ころうとも、あなたもお嬢さんも傍観者で居続けてください。それがあなた方を救う、唯一の手段です」

    彼が話している途中から、靖子は激しい動悸を覚えていた。

    「あの、石神さん、それはあの、一体どういうことなんでしょうか」

    「いずれわかります。今は話さないほうがいいでしょう。とにかく、以上のことを決して忘れないでください。わかりましたね」

    「待ってください。もう少し説明していただけないでしょうか」

    靖子の様子にただならぬものを感じたらしく、美里も近寄ってきた。

    「説明する必要はないと思います。では、これで」

    「あ、でも」彼女がそういった時、電話はすでに切れていた。

    草薙の携帯電話が鳴ったのは、岸谷と二人で車で移動している時だった。助手席に座っていた草薙は、リクライニングシートをいっぱいに倒した状態のまま、電話に出た。

    「はい、草薙です」

    「俺だ、間宮だ」班長のだみ声が聞こえた。「すぐ、江戸川署に来てくれ」

    「何か見つかったんですか」

    「そうじゃない。客だ。おまえに会いたいといっている男が来ている」

    「客」湯川かな、と一瞬思った。

    「石神だ。花岡靖子の隣に住んでる高校の教師だよ」

    「石神が 俺に会いたいと 電話じゃだめなのかな」

    「電話じゃだめだ」間宮は強い語気でいった。「重要な用件で来ている」

    「班長は内容を聞いたんですか」

    「詳しいことはおまえにしか話さないといっている。だから急いで戻ってこい」

    「そりゃあ、戻りますが」草薙は送話口を塞ふさぎ、岸谷の肩を叩いた。「江戸川署に来いってさ」

    「自分が殺したといっている」間宮の声が聞こえた。

    「えっ 何ですか」

    「富樫を殺したのは自分だといっている。つまり石神は自供しにきたんだ」

    「まさかっ」草薙は激しい勢いで上体を起こした。

    16

    石神は全くの無表情で草薙を見つめていた。いやもしかしたら視線が向いているだけで、視覚認識はしていないのかもしれない。彼は心の目でどこか遠くを凝視していて、草薙はたまたま彼の前に座っているだけなのかもしれない。そう思わせるような、見事に感情を殺しきった顔を石神はしていた。

    「あの男を最初に見たのは三月十日です」抑揚のない声で彼は話し始めた。「私が学校からアパートに戻ると、部屋のそばでうろうろしていました。花岡さんの部屋に用があるらしく、ドアの郵便受けを手で探ったりしていました」

    「失礼、あの男というのは」

    「富樫という男です。もちろんその時には名前は知りませんでしたがね」石神はかすかに口元を緩めた。

    取調室には草薙と岸谷がいた。岸谷は隣の机で記録をとっている。それ以外の刑事が立ち会うことは石神が拒否した。いろいろな人間から別々に質問されると、話がうまく整理できないから、という理由だった。

    「気になったので声をかけてみました。すると男はあわてた様子で、花岡靖子に用があるのだと答えました。自分は別居中の亭主だ、ともいいました。私はすぐに嘘だとわかりましたが、油断させるため、信用したふりをしました」

    「ちょっと待ってください。どうして、嘘だと思ったのですか」草薙は質問した。

    石神は小さく息を吸い込んだ。

    「私は花岡靖子のことは何でも知っているからです。彼女が離婚していることも、その別れた亭主から逃げ回っていることも、すべて承知しておりました」

    「なぜそんなによく知っているんですか。あなたは隣人ではあるけれど、殆ど言葉を交わしたこともなく、単に彼女が働いている弁当屋の常連客にすぎない、と聞いていましたが」

    「それは表向きの立場です」

    「表向き、とは」

    石神は背筋を伸ばし、かすかに胸を反らせた。

    「私は花岡靖子のボディガードなのです。彼女に近づいてくる腹黒い男たちから彼女を守るのが私の役目です。しかしそれは世間にはあまり知られたくない。何しろ私には、高校の教師という顔がありますから」

    「それで最初にお会いした時、殆ど付き合いがないと私にも話されたのですか」

    草薙が訊くと、石神は小さく吐息をついた。

    「あなたが私のところに来たのは、富樫が殺された事件について聞き込みをするためでしょう それなのに私が本当のことを話せるわけがない。すぐに疑われてしまいますからね」

    「なるほど」草薙は頷いた。「で、ボディガードだから、花岡靖子さんのことなら何でも知っている、とおっしゃるんですね」

    「そういうことです」

    「つまり以前から彼女とは密接な繋がりがあったと」

    「ありました。もちろん、何度もいいますが、世間には秘密の仲です。彼女

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